昨日の続きです。
論語には何人か孔子の弟子が登場します。その中でも際立って登場するのが次の二人です。
子曰。吾与回言。終日不違如愚。退而省其私、亦足以発。回也不愚。
顔回と話してると、ずっと肯いているから馬鹿かと思った。けれど後で見てみると、ちゃんと理解している。馬鹿ではなかった。
人を見かけで判断してはイケマセン。
顔淵死。子曰。噫。天喪予。天喪予。
顔回が死んだ。ああ、天は私を滅ぼすのか。天は私を滅ぼすのか。
絶望した! 善人ほど早死にする世に絶望した!
哀公問、弟子孰為好学。孔子対曰、有顔回者。好学、不遷怒、不弐過。不幸短命死矣。今也則亡。未聞好学者也
哀公が「弟子の中で学問好きは誰だ」と聞いた。孔子は「顔回という者がいました。八つ当たりせず、同じ間違いをしませんでしたが、不幸にして死にました。ですから今はもう誰もいません」と答えた。
ほかの弟子はガン無視……?
あまり誉めたりしない孔子が幾つかの賛辞を送っていることから、顔回を相当見込んでいた様子が見て取れます。
さてもう一人の弟子は対照的な人物です。
子路有聞、未之能行、唯恐有聞。
子路は新しいことを教えられて、まだ上手くできずにいるとき、別のことを教えられないかとビクビクしていた。
子路キュンかわゆす。
子路無宿諾。
子路は頼まれて承諾したら、直ぐ実行した。
やるときはやる、頼れる奴だったようです。
子曰。道不行。乗桴浮于海。従我者其由与。子路聞之喜。
もうやってられない、筏で海へと漕ぎ出そうか。ついてきてくれるのは子路だけかな。子路はそれを聞いて喜んだ。
時折見せる子路への愛は本物です。
子路、慍見曰。君子亦有窮乎。子曰。君子固窮。小人窮斯濫牟。
(旅の途中で餓死者がでるほど困窮して)子路が怒りながら孔子に言った。君子となるにはこんなに困窮するのですか! 孔子は答えて、君子とはもともと困窮しているもの。ただ覚悟のない人間が取り乱すのだ。
子路怒る! 仲間思いの子路には、次々と仲間が倒れいくさまに耐え切れなかったのでしょうか。
子路、行行如也。若由也、不得其死然。
子路は意気揚々としてた。あの様子では畳の上では死ねないだろうな。
図らずもこの予言は成就され、子路は謀反の際に主君を守って非業の死を遂げた。
前回紹介した中にも子路の名前見えるように弟子の中で一番よく登場しています。勇み足で少し足りないところがありながらも、実直な性格が好かれていたようです。タッチで例えるなら、孔子が南ちゃんで、顔回が和也、子路が達也という感じでしょうか。
ただ弟子はすべて出来が良かったわけではなく、昼寝していた宰予に激怒したり、役人になって厳しく税を取り立てた冉求を打ち据えよと言ったりしています。特に冉求は引っ込み思案であれこれアドバイスしてあげたのに、仕官後それまで教えていた道徳に背く行いをしたことに強く落胆したのでしょう。
というように別に孔子も聖人君子ではなく、怒ったり悲しんだり、挫折したり古い伝統に縛られたりと、人として普通な側面もあるわけです。2500年前といっても人間関係の難しさは変わらないということですね。逆に学問の環境としては大きく異なっていたことでしょう。そんな状況の下で一つの思想をまとめあげたのが孔子の功績だと思います。最後に機知に富んだ言葉を挙げてフォローしておきます(笑)。
子曰。温故而知新、可以為師牟。
古いことから新しいことを見つける、そこまでできれば先生になれる。
温故知新の語源。
子曰。学而不思則罔。思而不学則殆。
教えられるだけで自分で考えて見なければ、先行きが見えなくなる。独りよがりに考えるだけで人の意見を聞かなければ、道を間違える。
有名な一説ですね。周りから受け入れることと、自分で創り出すこと、どちらが欠けても巧くいかないというのは、いつの時代にもいえる真理だと思います。
子曰。人之過也、各於其党。観過斯知仁牟。
失敗の仕方でその人柄が分かる。
確かに失敗したときはその人の素がでるものです。逆に言えば失敗した後の行動こそ、本当に試されていることですね。
子曰。朝聞道、夕死可牟。
朝、正しい生き方を知ることができたなら、夕方死んでもかまわない
格好良すぎる言葉。
子曰。孟之反不伐。奔而殿。将入門。策其馬曰。非敢後也、馬不進也。
孟之反は謙虚だ。(負け戦で)最後尾を守り、味方の城に辿り着いたとき、急に馬を鞭打って「殿を務めたのではない、馬が走らなかったのだ」と言った。
ツンデレ。
子曰。知之者、不如好之者。好之者、不如楽之者。
ただ知っているだけの人はそれが好きな人には勝てない。ただ好きなだけの人はそれを楽しんでいる人には勝てない。
天才と秀才の分け目です。
敬鬼神而遠之
信仰の問題は深入りするな。
当時から難しい問題だったようです。
子曰。可与共学、未可与適道。可与適道、未可与立。可与立、未可与権。
友人と一緒に学んでいても、同じ道に進めるとは限らない。同じ道に進んでも、同じ境遇にいれるとは限らない。同じ境遇にいても、運命を共にできるとはかぎらない。
強敵(とも)とはいつか戦うものですもんね!
子曰。不逆詐。不億不信。抑亦先覚者是賢乎。
疑わずして、偽りを見抜く。それが賢さ。
ざわ…ざわ…
子曰。君子泰而不驕。小人驕而不泰。
君子は堂々としていて傲慢ではない。小人は傲慢だがどこか臆病だ。
高校生のころはこういうの好きでした。
子曰。君子求諸己。小人求諸人。
君子は自分に原因を求める。小人は人に原因を求める。
高校生のころは(以下略
子曰。道聴而塗説、徳之棄也。
今、人から聞いたことを、すぐに自分が考え付いたように吹聴するな。
これは自戒に。
読んでいるとなんだか高校時代を思い出して、たまには良いものだと思いました。いわゆる文学作品ってどれも一度は読んでおこうと思っても、なかなか読む機会がないですからね。